ユーザーインタビューの質問設計で押さえるべき8つのポイント

ユーザーインタビューの質問設計で押さえるべき8つのポイント

堀本大然

2025/8/7

ユーザーインタビューとは?効果的な質問設計の重要性

ユーザーインタビューは、商品やサービスを実際に利用しているユーザー(新規事業の場合は想定ユーザー)に対して、質問に回答してもらう形で意見を聞き取るリサーチ手法です。

明確な数値や傾向を計測するアンケートなどの定量調査に対して、ユーザーインタビューは、対象者のニーズや課題を深掘りするための「定性調査」に分類されます。ユーザーの本音や行動の「なぜ」に迫ることができるのが最大の強みなのです。

ユーザーインタビューの様子

しかし、ユーザーインタビューの成功は質問設計にかかっています。適切な質問設計ができなければ、表面的な回答しか得られず、貴重な時間と労力が無駄になってしまうでしょう。

今回は、新規事業開発において特に重要となる、ユーザーインタビューの質問設計で押さえるべき8つのポイントをご紹介します。


1. 目的を明確にした質問設計から始める

ユーザーインタビューを始める前に、「なぜインタビューを実施するのか」という目的を明確にしましょう。インタビュー自体が目的になってしまうと、商品やサービスの改善に活かすことができません。

まずは、より広範囲なテーマを定義することから始めます。例えば「人はなぜオンラインで買い物をするのか?」「顧客にとって、オンラインとオフラインでの買い物の違いは何か?」といったテーマです。

この段階では具体的な質問は考えず、インタビューを通して何を引き出したいのかを真剣に考えることが大切です。チームメンバーとも共有し、プロジェクトの目標に沿ったテーマであることを確認しましょう。

インタビュー前の質問設計の様子

2. 質問は答えやすいようにブレークダウンする

テーマが決まったら、次はそれを具体的な質問にブレークダウンします。大きなテーマをそのまま質問すると、一般的な回答や曖昧な回答しか得られないでしょう。

例えば「なぜ人はオンラインで買い物するのか?」というテーマなら、「あなたはどのような商品を購入しますか?」「オンラインでの購入を避けたい商品はどのようなものですか?またなぜですか?」「決済手順についてあなたが最も好む方法、好まない方法は何ですか?」といった具体的な質問に分解します。

質問をブレークダウンすることで、回答者が答えやすくなり、より具体的で有用な情報を得ることができます。


3. 回答に影響を与える質問は避ける

インタビュー時の質問の構成でよくある間違いは、物事を急ぐあまり予想通りの回答をできる限り早く得ようとしてしまうことです。

インタビュー室に入る段階で、あなたは既にユーザーがどんな回答をするか検討がつくでしょう。しかし、公平で先入観の無い結果を得るためには、その直観に影響されることなく真っ新な姿勢で臨む必要があります。

例えば「オンラインでの購入が上手くいかなかった場合、あなたはどれくらい心配しますか?」という質問は、回答者に「心配するべきだ」という前提を与えてしまいます。代わりに「何らかの理由が原因でオンラインでの購入が上手くいかなかった事例を思い出してください。その時どのように感じましたか?」と質問すれば、より自然な回答を引き出せるでしょう。

4. 過去における特定の瞬間について質問する

回答から曖昧さを減らし、正確性を高めるには、ユーザーが過去に体験した状況、かつ特定の時点について考えてもらう必要があります。

インタビュー中のメモ取りの様子

「オンラインでの買い物が失敗に終わるとします。どんな考えが頭をよぎりますか?」という仮定の質問よりも、「あなたが前回オンラインで何か購入を試みたにもかかわらず、失敗に終わってしまった時、どんなことが頭の中に浮かんだか教えてください」と具体的な経験を思い出してもらう質問の方が、より正直で詳細な回答を得られます。

ユーザーは特定の出来事を思い出すために懸命になり、その結果、リアルな感情や考えを引き出すことができるのです。


5. オープンエンドな質問を優先する

オープンエンドとは、調査対象者が自由に回答ができ、答えがひとつとは限らない質問のことを言います。「はい」「いいえ」で答えられるクローズドな質問ではなく、「どのように」「なぜ」「どんな」で始まる質問を心がけましょう。

例えば「このサービスは使いやすいですか?」というクローズドな質問よりも、「このサービスを使っていて、どのような点が印象に残りましたか?」というオープンエンドな質問の方が、より豊かな情報を引き出せます。

ただし、オープンエンドな質問ばかりだとインタビューが散漫になる可能性もあるため、適切なバランスを取ることが重要です。

6. ユーザーが話しやすい環境を作る

質問の内容だけでなく、インタビューの環境や雰囲気も重要です。ユーザーが緊張していたり、不快に感じていたりすると、本音を引き出すことは難しくなります。

リラックスした雰囲気でのインタビュー環境

インタビューの冒頭では、目的をしっかりと伝え、「正解・不正解はない」ことを明確に伝えましょう。また、サービスの紹介や販売をしないことも大切です。インタビューの目的は販売ではなく、ユーザーの声を聞くことだということを忘れないでください。

リラックスした雰囲気の中で、ユーザーが自分の言葉で自由に話せる環境を整えることが、質の高いインタビュー結果につながります。


7. 半構造化インタビューを活用する

ユーザーインタビューには、「構造化インタビュー」「半構造化インタビュー」「非構造化インタビュー」の3種類があります。

特に効果的なのが半構造化インタビューです。事前に決められた質問項目を用いる点は構造化インタビューと同じですが、決められた項目だけを聞くのではなく、ユーザーの回答に対してアドリブで別の質問を重ねて行くことで、ニーズや背景状況の深掘りをする手法です。

幹となる「インタビューで聞きたいこと」はぶれずに、回答者の背景や心理まで情報を収集できる点がメリットです。ただし、インタビュースキルによって得られる情報の質に大きな差が生じやすいため、経験豊富なインタビュアーをアサインする必要があります。

8. 発言以外のヒントを見逃さない

ユーザーインタビューでは、言葉だけでなく、表情や仕草、声のトーン、沈黙の長さなど、非言語的な情報も重要なヒントとなります。

例えば、ある機能について説明した時にユーザーが眉をひそめたり、質問に対して長い沈黙の後に答えたりする場合、その反応自体が貴重な情報です。

インタビュー中はメモを取りながらも、ユーザーの反応をよく観察し、言葉にならないフィードバックも見逃さないようにしましょう。可能であれば、インタビューを録音・録画して、後から詳細に分析することも効果的です。


まとめ:質問設計がユーザーインタビューの成否を分ける

ユーザーインタビューの質問設計は、得られる情報の質を大きく左右します。目的を明確にし、答えやすい質問にブレークダウンすること。誘導的な質問を避け、過去の具体的な経験を引き出すこと。オープンエンドな質問を優先し、話しやすい環境を作ること。半構造化インタビューを活用し、非言語的な情報も見逃さないこと。

これら8つのポイントを押さえることで、ユーザーの本音を引き出し、新規事業開発に活かせるインサイトを得ることができるでしょう。

新規事業の初期フェーズでは、ユーザーの声を聞くことが何よりも重要です。しかし、インタビューのノウハウやリソースが不足している企業も多いのが現状です。そんな時は、新規事業のインタビュー代行サービスの活用も検討してみてはいかがでしょうか。仮説の整理から設計・実査・レポート化まで一気通貫で支援し、次の意思決定に活かせるインサイトを可視化します。

この記事を書いた人

堀本大然

新卒では、「SaaS × BPaaS」を提供するベンチャー企業に入社し、to C向けマーケティングや経営企画部向けプロダクトのCS業務に従事。EmpowerXではセールスイネーブルメントSaaSのISを経験し、現在はHRサービスのFS業務および社内マーケティングに従事。

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