新規事業のインタビュー設計で成功する7つのノウハウ 

 新規事業のインタビュー設計で成功する7つのノウハウ 

堀本大然

2025/8/7

新規事業成功の鍵を握るインタビュー設計の重要性

新規事業を立ち上げる際、最も大きなリスクは「市場に求められていないものを作ってしまうこと」です。どんなに素晴らしいアイデアでも、顧客の本当のニーズを捉えていなければ失敗する可能性が高まります。

そんな失敗を避けるための強力なツールが「インタビュー」です。適切に設計されたインタビューは、ターゲット顧客の本音や行動を把握し、言語化されていない課題やインサイトを発見する貴重な機会となります。

新規事業におけるインタビューの重要性を示す図表

しかし、多くの新規事業担当者はインタビューの設計や実施方法に悩んでいます。「何を聞けばいいのか分からない」「回答が表面的で深掘りできない」といった課題を抱えているのではないでしょうか。

本記事では、新規事業の仮説検証インタビューを成功させるための7つのノウハウを紹介します。これらを実践することで、次の意思決定に活かせる本質的なインサイトを獲得できるでしょう。


1. 一般的・抽象的な課題ではなく、具体的な課題に絞り込む

インタビューで最初につまずくポイントは、課題設定が一般的すぎることです。「生産性を上げたいですか?」と聞いても、誰でも「YES」と答えるでしょう。これでは意味がありません。

重要なのは、ターゲットの顧客「だけ」が持つ具体的な課題を見つけることです。既存のソリューションでは解決できない、その顧客特有の障害に焦点を当てましょう。

一般的な課題と具体的な課題の違いを示す比較図

例えば「どんどん多品種少量生産を求められるようになってきたが、従来の考え方で作業手順書を作っていてはコストと時間がかかって困る。作業手順書を作る時間とコストを4分の1にしたい」という具体的な課題であれば、インタビューで何を聞くべきかが明確になります。

課題が具体的になれば、インタビューの質問も自然と具体的になり、有意義な回答を引き出せるようになるのです。

具体的な課題を見つけるためのポイント

課題を具体化するには、以下の3つの要素を明確にしましょう。

  • 誰が(ペルソナの具体化)

  • どんな状況で(コンテキストの特定)

  • 何に困っているのか(障害の特定)

これらを明確にすることで、「この特定の人が、この特定の状況で直面している具体的な問題」が見えてきます。そうすれば、インタビューでの質問も的を射たものになるでしょう。


2. 詳細なシナリオではなく、重要な視点と基本質問を準備する

インタビューを控えると、多くの人は詳細なシナリオやスクリプトを用意しようとします。確かに事前に質問を決めておくと安心感はありますが、実際のインタビューがシナリオ通りに進むことはほとんどありません。

特に初期段階での仮説は間違っていることが多いため、仮説が正しいという前提で作ったシナリオは最初の質問の段階で破綻してしまうことがよくあります。

柔軟なインタビュー手法と固定的なシナリオの対比図

より効果的なのは、顧客を理解するための重要な視点を考え、それを聞き出すための基本的な質問だけを準備しておくことです。そして、顧客の返答をベースに「なぜ?」を掘り下げていく柔軟なアプローチです。

顧客を理解するための4つの重要な視点は以下の通りです。

  • 顧客の課題(実現したいこと)は何か?

  • それが実現できない障害は何か?

  • 現在どのような解決策を取っているか?

  • その解決策では満足できていない理由は何か?

これらの視点に基づいた質問を用意し、顧客の回答に応じて柔軟に掘り下げていくスタイルが効果的です。


3. インタビューの始め方を工夫して信頼関係を構築する

インタビューの冒頭は非常に重要な瞬間です。始め方次第で、相手からの信頼を獲得し、有意義な情報を引き出せるかどうかが決まります。

多くの人が見落としがちなのは、インタビュイー(回答者)はインタビュアー以上に不安を感じているという点です。「何を聞かれるんだろう」「役に立つことを言えるだろうか」と緊張しているケースが多いのです。

効果的なインタビュー導入のステップを示す図

効果的なインタビューの始め方は、次の3つのステップを意識しましょう。

  1. アイスブレイク:共通の話題で会話を始め、リラックスした雰囲気を作る

  2. 背景・目的説明:インタビューの背景と目的を明確に伝え、共通認識を持つ

  3. 最初の質問:事前に準備した1問目で、スムーズに本題に入る

特にアイスブレイクでは、単に天気の話をするだけでなく、相手の興味を引く話題や、聞きたいテーマにおける相手の素養を確認することも効果的です。

また、インタビューの目的説明では、「インタビュイーが不利益を被ることがない」ことを丁寧に伝えることで、より協力的な姿勢を引き出せます。

最初の質問の重要性

インタビューの1問目は必ず事前に決めておきましょう。最初の質問が分かりにくかったり曖昧だったりすると、それがインタビュー全体の印象になってしまいます。

1問目を決める際は、「全体から順に絞っていく流れ」にするか、「早い段階で核心に迫る流れ」にするかを意識すると良いでしょう。どちらのアプローチを取るにせよ、明確で答えやすい質問を心がけてください。


4. 顧客の本音を引き出す質問テクニックを活用する

インタビューの成否を分けるのは、質問の仕方です。表面的な回答ではなく、本当のニーズや課題を引き出すための質問テクニックを身につけましょう。

効果的なのは「オープンクエスチョン」です。Yes/Noで答えられる質問ではなく、「どのように」「なぜ」「どんな場面で」など、相手が自由に回答できる質問を心がけましょう。

  • 「その課題はどのような状況で発生しますか?」

  • 「それを解決するために、これまでどんな方法を試しましたか?」

  • 「その解決策を選んだ理由は何ですか?」

また、「なぜ」を繰り返し掘り下げていくことで、表面的な回答から本質的な課題にたどり着くことができます。ただし、単調な「なぜですか?」の繰り返しは尋問のように感じられるため、言い方を工夫しましょう。

「それはどういう理由からですか?」「そう考えるようになったきっかけは?」など、バリエーションをつけると自然な会話になります。

具体的なエピソードを引き出す

抽象的な質問よりも、具体的なエピソードを引き出す質問の方が価値ある情報を得られます。

「最近、その問題に直面したときのことを具体的に教えていただけますか?」「その時、どのように対処されましたか?」といった質問で、リアルな体験談を聞き出しましょう。

実際のエピソードには、回答者自身も気づいていない重要なヒントが隠されていることがよくあります。


5. インタビュー中のNGポイントを避ける

効果的なインタビューを実施するためには、避けるべきNGポイントも押さえておく必要があります。初心者がやりがちな失敗例とその対処法を理解しておきましょう。

インタビュー中の避けるべき行動を示すイラスト

まず、質問が誘導的にならないよう注意しましょう。「このサービスは便利だと思いませんか?」といった質問では、本音を引き出せません。代わりに「このサービスについてどう思いますか?」と中立な言い方に変更します。

また、アンケートのように次々と質問を投げかけるのも避けるべきです。深い洞察を得るには、回答に対して掘り下げる質問を重ねることが重要です。エピソードを話してもらい、その文脈を理解することを心がけましょう。

自分の仮説を押し付けることも大きな失敗です。「このサービスがあれば問題解決できますよね?」といった仮説確認型の質問は、顧客の本当の気持ちを見誤る原因になります。まずは傾聴の姿勢を持ち、相手の言葉に耳を傾けることが大切です。

インタビュー中にメモばかり取っていると、会話の流れが悪くなります。可能であれば録音して後で見返すか、メモは最小限にとどめ、相手との対話を優先しましょう。

信頼関係を築いて本音を引き出す

インタビューの本質は、信頼関係を築いた上で、自然な会話の中から本音を引き出すことです。相手を尊重し、真摯に話を聞く姿勢が何よりも重要です。

「正解」を求めるのではなく、相手の経験や考えを理解しようとする姿勢で臨みましょう。


6. インタビュー後の分析と活用法を理解する

インタビューで得た情報を次の意思決定に活かすためには、適切な分析と活用が欠かせません。せっかく貴重な情報を得ても、それを活かせなければ意味がありません。

まず、インタビュー直後に印象や気づきを記録しておきましょう。記憶が鮮明なうちに、特に重要だと感じたポイントや、意外な発見をメモしておくことが大切です。

次に、インタビュー内容を体系的に整理します。共通するテーマや課題、矛盾点などを抽出し、パターンを見つけることで、個別の意見から普遍的なインサイトを導き出せます。

特に注目すべきは、複数のインタビュイーから共通して聞かれた課題や、感情を伴って語られたエピソードです。これらは真の課題を示している可能性が高いでしょう。

インサイトを次のアクションにつなげる

分析で得たインサイトは、具体的なアクションプランに落とし込みましょう。「このペルソナには、このような課題があるため、このような機能やサービスが必要」といった形で、事業開発の次のステップに直結させることが重要です。

また、インタビュー結果は関係者と共有し、共通認識を持つことで、チーム全体の意思決定の質を高めることができます。視覚的にわかりやすくまとめると、より効果的に共有できるでしょう。


7. 継続的なインタビュー実施で仮説を磨き上げる

新規事業開発において、インタビューは一度で終わりではありません。継続的に実施し、仮説を磨き上げていくことが成功への近道です。

初期のインタビューで得た洞察をもとに仮説を修正し、次のインタビューではより焦点を絞った質問ができるようになります。このサイクルを繰り返すことで、徐々に顧客理解が深まり、事業の方向性が明確になっていきます。

特に重要なのは、インタビューの目的を段階に応じて変化させることです。初期は課題発見が中心ですが、徐々にソリューション検証やプロトタイプ評価へと移行していきます。

このように、継続的なインタビューを通じて仮説を検証・修正していくプロセスが、市場に受け入れられる新規事業を生み出す鍵となるのです。

新規事業の成功確率を高めるためには、適切なインタビュー設計と実施が欠かせません。本記事で紹介した7つのノウハウを実践し、顧客の本音を引き出すインタビューで、次の意思決定に活かせるインサイトを獲得してください。

より専門的なインタビュー設計や実施をご希望の場合は、EmpowerXの「新規事業のインタビュー代行」サービスもご検討ください。仮説の整理から設計・実査・レポート化まで一気通貫でサポートし、ユーザーの本音を引き出すプロフェッショナルなサービスを提供しています。

この記事を書いた人

堀本大然

新卒では、「SaaS × BPaaS」を提供するベンチャー企業に入社し、to C向けマーケティングや経営企画部向けプロダクトのCS業務に従事。EmpowerXではセールスイネーブルメントSaaSのISを経験し、現在はHRサービスのFS業務および社内マーケティングに従事。

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