【2025年版】新規事業の成功確率を上げる顧客理解の教科書|明日から使える手法7選と成功事例

【2025年版】新規事業の成功確率を上げる顧客理解の教科書|明日から使える手法7選と成功事例

堀本大然

2025/8/13

なぜ新規事業に「顧客理解」が不可欠なのか?【失敗率42%の事実】

革新的なアイデアや優れた技術も、顧客に求められなければ価値はありません。多くの新規事業担当者が「素晴らしいプロダクトを作れば必ず売れる」と考えがちですが、これは根本的な誤解です。事実、CB Insightsの調査によれば、スタートアップの失敗理由の実に42%が「市場のニーズがなかった」ことによるものです。

この数字が示すのは、プロダクト開発に着手する前に、顧客が抱える本質的な課題や満たされていない欲求を深く理解することの重要性です。顧客理解こそが、新規事業の成否を分ける最重要要素なのです。


顧客を「人間」として捉える2つの思考フレームワーク

インタビューを通じて顧客理解を深める様子

1. H2H (Human-to-Human) マーケティング:B2BもB2Cも、相手は一人の人間

ビジネスの現場では「B2B」「B2C」という区分で語られることが多いですが、実際には全てのビジネスは「H2H(Human-to-Human)」です。どんな企業の決裁者も、まずは一人の人間として感情や価値観、困りごとを抱えています。
例えば、企業向けのITシステムを検討する担当者は、「会社の課題を解決したい」という組織的な動機と同時に、「失敗して責任を問われたくない」「上司に評価されたい」といった個人的な感情も持っています。この両方の層を理解することで、より説得力のある提案が可能になります。

2. ジョブ理論:顧客は製品ではなく「解決策」を雇用する

ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱したジョブ理論では、顧客は製品やサービスを購入するのではなく、特定の状況で発生する「ジョブ(片付けたい用事)」を解決するために、それらを「雇用」すると考えます。
有名な事例として、マクドナルドのミルクシェイクがあります。顧客の年齢や性別ではなく、「朝の通勤時間に片手で食べられる軽食が欲しい」というジョブに着目したことで、商品改良の方向性が明確になりました。このように、顧客の表面的な属性ではなく、その行動の背景にある「目的」や「状況」に焦点を当てることで、真のニーズを発見し、イノベーションの機会を見出すことができます。

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明日から使える!顧客理解を深める5つの実践手法

手法1:行動観察 - 顧客の無意識を読み解く

顧客が「何をしているか」を直接観察することで、本人も気づいていない課題や習慣を発見できます。特に注目すべきは、顧客が無意識に行っている「回避行動」や「代替行動」です。
実践のポイントは、予備知識を持たずに観察することです。「なぜこの手順で作業しているのか」「なぜこのタイミングで中断するのか」といった疑問を記録し、後のインタビューで確認しましょう。現場に入れない場合は、顧客に日常的な作業風景の動画撮影を依頼するのも効果的です。

手法2:ユーザーインタビュー -「なぜ?」を5回繰り返す深掘り術

行動観察で得た「What(何をしているか)」の発見から、インタビューによる「Why(なぜそうするのか)」の探求へと論理的に繋げます。私たちの経験上、多くの人が「何か不便なことはありますか?」と直接的に聞きがちですが、これでは本音は引き出せません。重要なのは、過去の具体的な行動について質問することです。

効果的なインタビューのコツは、「なぜ?」を最低5回繰り返すことです。表面的な回答の奥にある本質的な動機や感情を掘り下げることで、真のインサイトが見えてきます。

手法3:カスタマージャーニーマップ - 顧客体験をジャーニーで可視化する

顧客が課題を認識してから解決に至るまでの一連のプロセスを時系列で可視化します。重要なのは、各ステップでの顧客の感情や思考を詳細に記録することです。
特に着目すべきは「ペインポイント(痛みの瞬間)」と「モーメント・オブ・トゥルース(真実の瞬間)」です。顧客が最もストレスを感じる瞬間や、購入・継続利用を決定する決定的な瞬間を特定することで、自社のソリューションが介入すべきポイントが明確になります。

手法4:プロトタイピングとユーザーテスト - 最小コストで仮説を検証

完成品を作る前に、シンプルなプロトタイプ(試作品)を作成し、実際の顧客に使ってもらいます。デジタルサービスなら画面遷移だけのモックアップ、物理的な商品なら段ボールや3Dプリンターでの簡易版でも十分です。
重要なのは、プロトタイプの完成度ではなく、顧客の反応から学びを得ることです。「使いにくそうな顔をした瞬間はいつか」「予想と違う使い方をしていないか」を観察し、仮説の修正を繰り返しましょう。

手法5:低予算で始めるクイック調査 - SNS分析と既存顧客ヒアリング

本格的な市場調査には予算が必要ですが、限られたリソースでも顧客理解を深める方法は存在します。最も手軽で効果的なのが、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSで自社や競合の製品・サービスがどのように語られているかを分析する「ソーシャルリスニング」です。
また、既存顧客や見込み顧客リストに対して簡単なオンラインアンケートを実施すること、そして自社の顧客サポート部門に寄せられる問い合わせ内容を分析することも、顧客の生の声を収集するための貴重な情報源となります。これらの手法は、追加の予算をかけることなく、明日からでも実践可能です。

顧客理解を成功に導いた国内企業の最新事例

事例1:トヨタ自動車「Edeson」- BtoB領域での深い業界課題の理解

トヨタ自動車が2023年にリリースした医療機関向けIoTプラットフォーム「Edeson」は、単なる技術提供ではなく、医療現場の深刻な人手不足という業界課題を徹底的に理解した結果生まれたソリューションです。
同社は約2年間にわたり、全国の病院や介護施設で現場観察を実施。医療従事者が日々直面する「見回り業務の負担」「ヒューマンエラーへの不安」「夜勤時の人員不足」といった具体的な困りごとを肌で感じることから始めました。その結果、単純な機器監視ではなく、「医療従事者の判断を支援する」という新しい価値提案にたどり着いたのです。

新規事業のプロトタイピングとテスト

事例2:ファミリーマート「コンビニエンスウェア」- 潜在ニーズの発見と新市場創造

ファミリーマートが2024年に本格展開を開始した「コンビニエンスウェア」は、従来のコンビニの概念を覆す画期的な取り組みです。これは、忙しいビジネスパーソンの「急な会議でシャツが汚れた」「出張先で下着を忘れた」といった「緊急時の衣類調達ニーズ」に着目したものです。
同社は、深夜や早朝の来店客を詳細に観察し、「緊急性の高い困りごと」を抱えた顧客層の存在に気づきました。単なる商品追加ではなく、「困った時の駆け込み寺」としてのコンビニの新たな役割を定義することで、新しい市場を創造したのです。

顧客インサイトを可視化するデータ分析

顧客理解を事業の成果に繋げる2つの最重要ポイント

ポイント1:自社の強み(コア・コンピタンス)と顧客ニーズを掛け合わせる

どれだけ深い顧客理解を得ても、それが自社の強みと結びつかなければ持続可能な事業にはなりません。重要なのは、「顧客が本当に困っていること」と「自社が他社よりも圧倒的に得意なこと」の重なる領域を見つけることです。
この掛け合わせによって、競合他社が簡単には真似できない独自の価値提案が生まれます。自社の技術力、販売チャネル、ブランド力、人材など、あらゆる経営資源を棚卸しし、顧客課題との接点を探しましょう。

ポイント2:MVPで学びを最大化する「スモールスタート戦略」

MVP(Minimum Viable Product:最小実行可能プロダクト)とは、顧客の課題を解決する最低限の機能だけを持った初期版プロダクトのことです。完璧を目指さず、まずは小さく始めて市場の反応を確認することで、リスクを最小化しながら学びを最大化できます。
MVPの真の目的は、売上を上げることではなく、「仮説が正しいかどうかを確認する」ことです。顧客が実際にお金を払うか、継続的に利用するか、他の人に勧めるかといった行動で仮説を検証し、次の改善に活かしましょう。

まとめ:顧客理解は一過性のイベントではなく、継続的な対話である

市場環境や顧客のニーズは日々変化しています。テクノロジーの進歩、社会情勢の変化、競合他社の動向など、様々な要因が顧客の行動や価値観に影響を与えます。だからこそ、顧客理解は一度行えば終わりではなく、事業を続ける限り継続すべきプロセスなのです。
顧客との対話を止めないことこそが、持続的な成長を実現する唯一の道です。今日学んだ手法を実践し、顧客の声に真摯に耳を傾け続けることで、あなたの新規事業は必ず成功への道筋を見つけることができるでしょう。

専門家のサポートで、顧客理解の精度と速度を最大化しませんか?

ここまで顧客理解の重要性と具体的な手法をお伝えしてきましたが、実際に取り組んでみると「適切な質問設計ができない」「得られた情報をどう解釈すべきか分からない」といった壁にぶつかることがあります。特に、限られた時間と予算の中で最大の成果を求められる新規事業の現場では、効率性と精度の両立が不可欠です。

EmpowerXの新規事業インタビュー代行サービスは、豊富な実績を持つ専門家が、あなたの事業に最適化されたインタビュー設計から実施、そして実行可能なインサイトの抽出まで、顧客理解のプロセス全体をサポートします。これまで数多くの新規事業の成功を支援してきた経験を活かし、あなたのチームが本来注力すべき戦略立案と実行に集中できる環境を提供いたします。
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この記事を書いた人

堀本大然

新卒では、「SaaS × BPaaS」を提供するベンチャー企業に入社し、to C向けマーケティングや経営企画部向けプロダクトのCS業務に従事。EmpowerXではセールスイネーブルメントSaaSのISを経験し、現在はHRサービスのFS業務および社内マーケティングに従事。

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