
【完全ガイド】ユーザーインタビューの質問設計術|本音を引き出す8つの秘訣と分析手法
堀本大然
2025/8/13
新規事業やプロダクト改善で「ユーザーの声を聞く」ことは不可欠です。しかし、いざインタビューをしても「当たり障りのない意見しか聞けなかった」「次のアクションに繋がらなかった」という経験はありませんか?
その原因のほとんどは「質問設計」にあります。
本記事では、ユーザーの心の奥にある本音やニーズを引き出し、事業を成功に導くための具体的な質問設計術を、準備から実践テクニック、さらには分析手法まで網羅的に解説します。明日からチームで実践できる具体的なノウハウと、絶対に避けるべき落とし穴をお伝えします。
ユーザーインタビューとは?定量調査との違いと成功の鍵
ユーザーインタビューは、1対1または少人数でユーザーと対話し、深層心理やニーズを探る定性調査の手法です。アンケートやデータ分析といった定量調査が「何が起きているか」を数値で明らかにするのに対し、インタビューは「なぜそれが起きているのか」という理由や背景を深掘りできます。
成功の鍵は3つあります。明確な目的設定、適切な質問設計、そして傾聴と深掘りの技術です。特に質問設計は、インタビューの質を9割決める重要な要素と言えるでしょう。

インタビューの全体像:成功への5ステップ
具体的なテクニックに入る前に、ユーザーインタビューがどのようなプロセスで進むのか、全体像を把握しておきましょう。
【計画】目的設定・仮説構築
【募集】対象者リクルーティング
【設計】インタビューフローと質問の作成
【実施】インタビューの実行と記録
【分析】インサイトの抽出と共有
この記事では特に重要な「3. 設計」と「4. 実施」のテクニックに焦点を当てて解説します。
【準備編】インタビューの成否を9割決める質問設計のポイント
ポイント1:目的の解像度を上げる「リサーチクエスチョン」から始める
優れたインタビューは、明確な「リサーチクエスチョン」から始まります。これは「このインタビューを通じて、何を明らかにしたいのか」を一文で表現したものです。
悪い例: 「ユーザーのニーズを知りたい」
良い例: 「ECサイトで商品をカートに入れた後、購入をやめてしまう理由と、その瞬間の心理状態を明らかにしたい」
リサーチクエスチョンが曖昧だと、インタビューの軸がブレ、聞くべき質問が見えてきません。まずは「なぜこのインタビューをするのか」を徹底的に言語化しましょう。

ポイント2:大きな問いを「具体的な質問」に分解する
リサーチクエスチョンが決まったら、それを具体的な質問に落とし込みます。この時、質問は大きく3つのカテゴリに分類できます。
導入質問: 緊張をほぐし、話しやすい雰囲気を作る
本題質問: リサーチクエスチョンに直結する核心的な内容
締めくくり質問: 補足情報や全体的な感想を確認
重要なのは、本題質問を「オープンエンド」な形式にすることです。「はい/いいえ」で答えられるクローズドな質問ではなく、ユーザーが自由に語れる余地を作りましょう。
【実践テクニック編】ユーザーの本音と事実を引き出す質問術
ポイント3:誘導を避ける - 公平な姿勢で臨む
ありがちな失敗は、インタビュアーが自身の仮説を証明しようと誘導してしまうことです。その気持ちはよく分かりますが、インタビューの主役はあくまでユーザーです。
誘導質問の例: 「この機能は便利だと思いませんか?」
中立的な質問の例: 「この機能を使ってみて、どう感じましたか?」
私たちは最高の聞き役に徹し、ユーザーの生の声に深く耳を傾けましょう。事前に持っていた仮説が間違っていることが分かったとしても、それこそが貴重な発見です。
ポイント4:仮定ではなく「過去の具体的な行動」を深掘りする
人は未来を正確に予測できません。だからこそ「もしこのサービスがあったら買いますか?」という質問は、ほぼ無意味です。そうではなく、過去の「事実」を聞き出しましょう。
悪い例(仮定): 「オンラインでの買い物が失敗に終わるとします。どんな考えが頭をよぎりますか?」
良い例(過去の事実): 「一番最近、オンラインで何かを買おうとして、結局やめてしまった経験について教えてください。具体的にどのような商品で、どのサイトで、どの段階で面倒だと感じましたか?その時、何が頭に浮かびましたか?」
なぜなら、人は具体的なエピソードを思い出す過程で、無意識の感情や思考まで語ってくれるからです。

ポイント5:「オープンエンドな質問」で自由に語ってもらう
ユーザーから予想外の洞察を得るためには、オープンエンドな質問が不可欠です。クローズドな質問は確認作業には有効ですが、新たな発見は生まれません。
オープンエンドな質問の例:
「その時の状況を詳しく教えてください」
「なぜそう思ったのでしょうか?」
「他にはどんなことを考えましたか?」
特に「なぜ?」を3回繰り返すことで、表面的な理由から真の動機まで辿り着けます。ただし、尋問のようにならないよう、自然な会話の流れを大切にしましょう。
【環境・心構え編】インタビューの質を最大化する
ポイント6:心理的安全性を確保し、話しやすい環境を作る
ユーザーが本音を語ってくれるかどうかは、心理的安全性にかかっています。以下の点に注意しましょう。
環境面: 静かで落ち着いた場所を選ぶ。オンラインの場合は事前の接続テストを怠らない
姿勢面: 批判や否定を一切せず、すべての発言に感謝の気持ちを示す
言葉遣い: 専門用語は避け、ユーザーの言葉に合わせる
「正解を求められている」と感じさせてはいけません。「どんな答えでも歓迎します」というメッセージを言葉と態度で伝えることが重要です。

ポイント7:流れを止めずに深掘りできる「半構造化インタビュー」
事前に質問リストを用意しつつも、会話の流れに応じて柔軟に深掘りできる「半構造化インタビュー」の手法を採用しましょう。
完全に台本通りに進める構造化インタビューでは、思わぬ発見を逃してしまいます。一方、何も準備しない非構造化インタビューでは、目的からそれる可能性があります。半構造化なら、両方のメリットを活かせます。
具体的なコツ:
質問リストは順番を固定せず、話の流れで並び替える
興味深い発言があったら、予定になくても深掘りする
「それは面白いですね。もう少し詳しく教えてもらえますか?」を口癖にする
ポイント8:言葉にならないサイン「非言語情報」を見逃さない
ユーザーは言葉だけでなく、表情や仕草、間(ま)でも多くを語ります。特に以下のサインに注目しましょう。
躊躇や沈黙: 言いにくいことがある可能性
表情の変化: 感情の動きを示している
話すスピードの変化: 興奮や困惑を表している
こうした非言語情報をキャッチしたら、「今、少し考え込まれましたね。何か気になることがありましたか?」のように、優しく確認してみましょう。
【補足】オンラインインタビューで特に注意すべき3つのこと
近年主流となっているオンラインでのインタビューには、特有の注意点があります。
1. 技術的な準備を怠らない 事前の接続テストと代替連絡手段の確保は必須です。インタビュー当日にトラブルが発生すると、ユーザーのモチベーションが下がってしまいます。
2. 意識的にリアクションを大きくする 対面より非言語情報が読み取りにくいため、意識的に大きな相槌や表情で反応を返しましょう。ユーザーが「ちゃんと聞いてもらえている」と感じることが重要です。
3. 画面共有機能を積極活用する プロトタイプやサービス画面を一緒に見ながら話すことで、より具体的なフィードバックを得られます。録画許可は必ず冒頭に取りましょう。
インタビューの「その後」が重要!得た声を宝に変える分析手法入門
インタビューはやって終わりではありません。集めた発言という「点」を、インサイトという「線」や「面」にしていく分析作業が不可欠です。
代表的な手法に「KJ法(アフィニティ図法)」があります。これは、インタビューで得られた定性的なデータ(発言、気づき)を付箋などに書き出し、類似するものでグルーピングしていくことで、個々の発言の背後にある共通のニーズや課題、インサイトを構造的に発見する手法です。
具体的には、ユーザーの発言を一枚一枚のカードに書き出し、似たもの同士を集めてグループを作っていくイメージです。このプロセスを通じて、チーム内での共通認識を形成し、次のアクション(課題の優先順位付け、機能改善案の立案など)に繋げやすくなります。
可能であれば、付箋がグルーピングされていく様子を図解することで、視覚的に理解しやすくなるでしょう。
まとめ:優れた質問設計で、ユーザーの「なぜ?」を事業の力に変えよう
ユーザーインタビューの成功は、準備段階の「目的設定」と「質問設計」、そして実施段階の「傾聴と深掘り」にかかっています。
今回ご紹介した8つのポイントを実践すれば、誰でもインタビューの質を格段に向上させることができます。大切なのは、ユーザーを真の主役として尊重し、私たちは最高の聞き役に徹することです。
正しい手法を学び、実践を重ねることで、ユーザーの「なぜ?」を事業を成功に導くインサイトへと変えていきましょう。
新規事業のインタビュー代行サービスについて
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