
なぜ、貴社の1on1は成果に繋がらないのか?インサイドセールス成功企業に共通する『部下の本音と主体性を引き出す』実践的技術
堀本大然
2025/8/15
はじめに:なぜ、多くの企業の1on1は『ただの進捗確認』で終わってしまうのか?
多くのインサイドセールス組織で1on1は導入されているものの、その多くが「ただの進捗確認で終わってしまう」という課題に直面しています。これは、弊社が数多くの企業様をご支援する中で繰り返し目にしてきた光景です。良かれと思って始めた施策が、メンバーの主体性を引き出すどころか、マネージャー・メンバー双方にとって『義務的な時間』となってしまっているのです。
本記事では、EmpowerX(弊社)の社内実績とデータに基づき、なぜ1on1が形骸化するのか、そして成功企業はどのようにしてそれを乗り越え、成果に繋げているのか、その具体的な技術を体系的に解説します。

貴社は当てはまらないか?弊社が見てきた、1on1が形骸化する3つの典型パターン
今までの実績から、成果の出ない1on1には3つの典型的な失敗パターンが存在することが分かっています。まず貴社の現状と照らし合わせて、診断してみてください。
パターン1:「進捗確認会議化」
「今週のKPI達成状況は?」「来週の行動計画は?」といった確認事項を淡々と進めるだけの状態。メンバーは受け身になり、創造性や主体性が発揮されない。
パターン2:「マネージャーによる一方的なアドバイス」
メンバーの課題に対し、マネージャーが自身の経験に基づく解決策を一方的に提示する状態。短期的には効率的に見えるが、メンバーの思考力と問題解決能力の成長を阻害する。
パターン3:「準備不足による雑談化」
明確な目的や構造がないまま実施され、とりとめのない雑談で時間が過ぎてしまう状態。一見和やかに見えるが、具体的な成果や成長に繋がらない。
これらのパターンに共通するのは、1on1を「評価の場」として位置づけていることです。しかし、真に成果を出している組織では、1on1を全く異なる視点で捉えています。

『評価』ではなく『成長支援』へ。成果を出す組織に共通する意識改革
弊社がこれまご支援してきた企業や、社内ので継続的に高い成果を出しているチームに共通するのは、1on1を「評価の場」から「成長支援の場」へと明確に位置づけ直していることです。この意識改革により、メンバーは自身の課題や想いを率直に話せるようになり、マネージャーは適切な支援を提供できるようになります。
具体的には、マネージャーの役割を「ジャッジ」から「パートナー」へと転換することが重要です。弊社が支援したある企業では、この意識改革を徹底した結果、メンバーのエンゲージメントスコアが6か月で15ポイント向上し、営業成績も前年同期比で20%の改善を実現しました。
【基本編】弊社の支援先で実証済み。心理的安全性を生む1on1の基本フォーマット
EmpowerXが実際に活用し、効果を実証してきた1on1の基本フォーマットをご紹介します。このフレームワークは、SPIN話法の考え方を1on1に応用し、心理的安全性を確保しながらメンバーの主体性を最大限に引き出すよう設計されています。
Phase1:アイスブレイク(5分)
業務以外の話題から入り、リラックスした雰囲気を作ります。「最近、プライベートで何か変化はありましたか?」といった質問で、緊張を和らげます。
Phase2:現状把握(10分)
メンバー自身に状況を語ってもらいます。ここでのポイントは、マネージャーが「聞き役」に徹することです。傾聴のスキルが最も重要になる段階です。

Phase3:課題の深掘り(15分)
表面的な課題ではなく、真の課題を一緒に探ります。適切な質問により、メンバー自身が気づいていなかった本質的な問題を浮き彫りにします。
Phase4:解決策の検討(10分)
答えを教えるのではなく、メンバー自身に考えてもらい、それを支援します。マネージャーは「コーチ」として機能します。
Phase5:アクションの明確化(5分)
具体的で実現可能な次のステップを、メンバーの言葉で定義してもらいます。これにより、当事者意識と実行力を高めます。
実践編】メンバーの『本音』と『主体性』を引き出す、プロフェッショナルの7つの質問
次に、社内で最も効果のあった、戦略的な質問技術をご紹介します。これらの質問は、単なるテクニックではなく、メンバーの可能性を最大限に引き出すための「対話の設計図」として機能します。

1. 現状把握のための質問:『今週はどんな成果や進展があったか、教えてください』
この質問の狙いは、メンバーに自分の成果を客観視してもらうことです。インサイドセールスでは小さな進展も積み重なって大きな成果につながります。定量的な成果だけでなく、「顧客との関係性が深まった」といった定性的な成長も、適切に承認することが重要です。
2. 課題発見のための質問:『現在、最も時間やエネルギーを消耗していることは何でしょうか?』
「特に問題はありません」という回答を避けるため、課題を「問題」ではなく「エネルギーを消耗する要因」として聞くことがポイントです。弊社の支援先では、この質問により業務効率化の重要なヒントが数多く発見されています。
3. 動機確認のための質問:『この仕事において、最も充実感を感じるのはどのような瞬間ですか?』
インサイドセールスという職種では、拒否されることも多く、メンバーのモチベーション維持が重要な課題です。この質問によって、メンバー自身が自分のやりがいを再確認でき、困難な状況でも前向きに取り組む原動力を見つけることができます。
4. 目標設定のための質問:『1か月後、理想的な状況になっているとしたら、具体的にはどのような状態ですか?』
「目標を設定してください」という指示的な質問ではなく、メンバー自身の理想の状態を描いてもらいます。これにより、より主体的で実現可能性の高い目標設定が可能になります。
5. 能力開発のための質問:『今後、どのようなスキルや知識を身につけることで、さらに成果を出せると思いますか?』
この質問は、メンバーの成長意欲を確認し、個人の志向と組織の方向性を擦り合わせるために重要です。SPIN話法やデータ分析など、具体的な学習ニーズが分かれば、適切な研修機会や実践の場を提供することができます。
6. サポート確認のための質問:『私や組織からのサポートで、改善できる点があれば遠慮なく教えてください』
マネージャーとして最も重要でありながら、最も聞きにくい質問かもしれません。しかし、この質問によって、メンバーが本当に求めているサポートの形を知ることができ、より効果的なマネジメントが可能になります。
7. 学習促進のための質問:『最近の業務で、新しい発見や気づきがあれば共有してください』
インサイドセールスでは、顧客との対話から多くの学びを得ることができます。この質問によって、メンバーが日々の業務から得た洞察を言語化してもらい、チーム全体の知見として蓄積・共有することができます。
【応用編】ハイパフォーマーなマネージャーが実践する、一歩進んだ対話術
最後に弊社のマネージャーが実践している、高度な対話テクニックをご紹介します。これらマスターすることで、1on1の質を格段に向上させることがでできると考えています。
ケース1:メンバーが沈黙した時、どう対応するか?
質問をした後の沈黙。多くのマネージャーが焦りを感じるこの瞬間を、成功企業のマネージャーは『相手が思考を深めている重要な時間』と捉えています。弊社が支援したある企業では、マネージャーが沈黙を待つ姿勢を徹底した結果、メンバーから本質的な課題や革新的なアイデアが生まれるようになりました。
対応技術:
最低15秒は沈黙を保つ
「ゆっくり考えて大丈夫です」と声をかけ、プレッシャーを軽減する
沈黙を「相手の真剣な思考時間」として肯定的に捉える
ケース2:「特に問題ありません」という返答から、どう深掘りするか?
表面的な回答から本音を引き出すためには、質問の角度を変えることが効果的です。弊社の支援先では、以下のような技術を活用しています。
深掘り技術:
「もし一つだけ改善できるとしたら、何を選びますか?」
「理想的な状況と比べて、何か違いを感じる部分はありますか?」
「他のメンバーが同じような状況だったら、どのようなアドバイスをしますか?」
これらの質問により、メンバーは自身では「問題」と認識していない課題や改善点に気づくことができます。
最後に:1on1を、チームと組織を成長させる戦略的投資へ
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。効果的な1on1の実践は、決して平坦な道ではありません。しかし、メンバー一人ひとりの声に耳を傾け、その主体性を引き出す対話は、チームの成果を最大化するだけでなく、組織全体の競争力を高めるための最も確実な投資であると、弊社はかんがえています。本記事が、貴社の価値ある挑戦の一助となり、持続的な成長のきっかけとなれば幸いです。
インサイドセールス組織構築でお悩みの方へ
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