
パートナーセールスと直販の違い|それぞれのメリットと使い分け
2026/5/21
「直販だけでは限界を感じている」——そう悩む営業責任者は少なくありません。採用コストをかけて人員を増やしても、売上の伸びが追いつかない。そんな「足し算の壁」に直面したとき、多くの企業がパートナーセールスへの転換を検討し始めます。
本記事では、パートナーセールスと直販の違いをコスト構造・スケーラビリティ・コントロール性・顧客体験の4軸で比較し、自社に最適な販売戦略の選び方を解説します。
パートナーセールスと直販の基本的な違い

直販とは、自社の営業担当者がエンドユーザーに直接アプローチし、製品・サービスを販売する形態です。一方、パートナーセールスは代理店・販売店・リセラーなどの外部パートナー企業を通じて販売する手法で、「代理店営業」「チャネルセールス」とも呼ばれます。
最大の違いは成長モデルの構造にあります。
直販は採用に依存した「足し算」の成長モデルです。営業担当者を1人増やせば、その分だけ売上が増えますが、人件費と採用コストが上限を決めてしまいます。
対してパートナーセールスは「掛け算」の成長モデルです。1人の担当者が20社のパートナーと連携し、各社に30名の営業担当者がいれば、600名分の営業力が発揮される計算になります。このレバレッジこそが、パートナーセールスが直販と根本的に異なるポイントです。
出典:株式会社パートナープロップ「パートナーセールスとは?成果を出す戦略設計と実践手法を徹底解説」
コスト構造とスケーラビリティの比較

コスト面では、両者に明確な差があります。
・直販:採用・育成コストが高い。ただし、マージンが不要なため利益率は高くなりやすい
・パートナーセールス:採用コストを削減できる反面、販売手数料・マージンが発生する
スケーラビリティの観点では、パートナーセールスに優位性があります。旅行・不動産・保険・情報通信業界などでは古くからパートナーチャネルが活用されており、SaaS企業でも中小企業向け製品や特定業界向けソリューションでパートナーチャネルが売上の重要な柱になっています。
実際、成長を遂げたSaaS企業の多くがパートナー経由での売上を重視しており、スケールを追うフェーズでは、パートナーセールスの活用が有効な選択肢となります。
出典:ailead Blog「パートナーセールス(代理店営業・アライアンス)とは?戦略設計から成功のコツまで【2026年版】」
コントロール性と顧客体験の違い

直販の強みは、コントロール性の高さにあります。
顧客との関係を直接・深く構築できるため、ブランドメッセージの一貫性を保ちやすく、顧客フィードバックをリアルタイムで製品改善に活かせます。高単価・カスタマイズ型の商材では、この直接性が成約率に直結しやすい傾向があります。
一方、パートナーセールスではコントロールが難しくなります。
パートナーは複数の商材を抱えており、自社製品が「後回し」にされるリスクがあります。ブランド管理も間接的になるため、顧客体験の品質にばらつきが生じる可能性があります。パートナーの育成期間も必要で、成果が出るまでに時間がかかる点も見逃せません。
パートナーセールスを成功させるには、自らエンドユーザーに売ることではなく、パートナーが売りたくなる環境を整えることが重要です。この視点の転換が、パートナーセールスを成功させる鍵となります。
自社に最適な販売戦略の選び方と使い分け
両者は「二者択一」ではありません。
事業フェーズに応じて最適な比率を設計することが重要です。多くの成功企業では、まず直販で「売れる型」を確立し、その型をパートナーに展開するという流れを取っています。
サイボウズの事例が参考になります。同社は2001年に直販だけでは売上の限界を感じ、2002年にパートナーセールス部門を設立しました。直販で築いた販売ノウハウをパートナーに横展開することで、大きな成長を実現しています。
使い分けの目安は以下の通りです。
・直販が向く場面:高単価・複雑なカスタマイズが必要・初期フェーズで「売れる型」を模索中
・パートナーセールスが向く場面:標準化された商材・広域展開が必要・人員リソースに限界を感じている

パートナー開拓においては、競合企業で成果を出しているパートナー企業を探すアプローチが比較的始めやすいとされています。また、バリューチェーンに基づいて100社を開拓し、その結果から相性の良いパートナー企業の特徴を絞り込む「量から質への転換」手法も有効です。
パートナープログラムの設計では、手数料(インセンティブ)だけを「売る理由」にしないことが重要です。パートナーにとってのメリットは、自社製品を扱うことで彼らの本業の付加価値が高まることにあります。クロスセルによる新たなマネタイズポイントの創出や、専門性・市場ポジショニングの強化といった文脈を設計することが不可欠です。
階層構造のパートナープログラムを導入することで、パートナーの貢献度に応じた特典を提供できます。例えば、Cloudwaysのエージェントパートナープログラムでは、ホスティング費用に応じてクライアントサポートの優先順位、専用のパートナーシップマネージャー、個別のトレーニングセッション、クライアントへのオンボーディング割引などの特典が段階的に提供されます。
また、PartnerSuccessパスポートのような紹介マーケットでは、LINEまたはメールアドレスの登録だけで、たった10秒でスタート可能であり、100社以上の厳選商材をすぐに取り扱え、紹介するだけで報酬が得られる仕組みが提供されています。
パートナー導入費用を提示した際には、「高い」という反応が返ってくることがあります。ここで重要なのは、金額そのものではなく、その費用が果たす役割を正しく理解してもらうことです。社内合意をスムーズに進めるためには、よくある反対意見ごとに、説得の切り口と具体的な説明方法を用意することが有効です。
出典:ALL STAR SAAS BLOG「【直販vs再販のマネジメント】サイボウズ本部長・栗山圭太に聞く『パートナーセールスの全体像』」
まとめ:パートナーセールスと直販は組み合わせて使う
パートナーセールスと直販、どちらが優れているという話ではありません。
直販はコントロール性と利益率が高く、初期フェーズや高単価商材に強い。パートナーセールスはスケーラビリティとコスト効率に優れ、広域展開や人員リソースの限界を超えたい場面で力を発揮します。
自社の事業フェーズ・商材特性・リソース状況を踏まえ、両者を最適な比率で組み合わせることが、持続的な成長への近道です。
パートナー企業の開拓に興味をお持ちの方は、まず自社のバリューチェーンを整理するところから始めてみてください。どのパートナーと組むべきか、なぜ売ってもらえるのか——この問いへの答えが、パートナーセールス戦略の出発点になります。
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