営業の属人化を解消する進め方5ステップ|コクヨ社の「商談の型」再設計事例

営業の属人化を解消する進め方5ステップ|コクヨ社の「商談の型」再設計事例

2026/10/5

「あの案件は◯◯さんじゃないと決まらない」「同じ商品なのに、担当によって提案書の中身がまるで違う」

営業マネージャーであれば、一度はこうした状況に頭を悩ませたことがあるのではないでしょうか。

属人化という言葉を聞くと、多くの方が真っ先にSFAやCRMの導入を思い浮かべます。ですが、ツールを入れただけでは「誰が商談してもある程度同じ水準で進められる」状態にはなりません。属人化の本質は情報が共有されていないことではなく、商談そのものに「型」が存在しないことにあるからです。

そこで今回は、営業の属人化が解消しない原因を整理したうえで、ツール導入に頼らずに「商談の型」を作る5つのステップを、実際の支援事例とあわせてご紹介します。

営業の属人化とは?「誰が行くかで商談の中身が変わる」状態の定義と放置リスク

営業の属人化とは、提案内容・トーク・判断基準が担当者個人の経験や感覚に依存し、誰が商談に行くかによって成果が大きく変わってしまう状態を指します。

この状態を放置すると、次のようなリスクが積み重なっていきます。

  • ベテランが異動・退職した瞬間に、チーム全体の受注率が落ち込む

  • 新人の立ち上がりに時間がかかり、育成コストが膨らみ続ける

  • 「なぜ失注したか」が感覚でしか振り返れず、改善が属人的なまま再生産される

属人化が解消しない3つの原因

多くの企業がSFAや研修を導入しても属人化が解消しないのは、次の3つの原因に手をつけられていないためです。

  • 商談設計そのものが存在しない: 「このページで何を判断してもらうか」「どこで何を聞くべきか」が言語化されておらず、各自の経験則に頼るしかない

  • 振り返りが感覚頼り: 商談後のフィードバックが「良かった/悪かった」の主観にとどまり、再現可能な改善につながらない

  • マネージャーが設計に時間を割けない: 日々の案件対応・進捗管理に追われ、商談プロセスそのものを設計し直す時間が確保できない

属人化を解消する進め方5ステップ

ここからは、SFA導入の前にやるべき「商談の型」づくりを、5つのステップで解説します。

① プロセスを分解する

結論:まず商談全体を「ターゲット設計→初回接点→ヒアリング→提案→次アクション」の5フェーズに分解します。

理由:フェーズに分けずに「商談がうまい/下手」とだけ評価していると、どの工程でつまずいているのかが見えません。フェーズごとに評価できて初めて、改善すべき箇所がチーム全体で共有できます。

具体例:「初回接点」であれば、相手の役職・決裁フローの確認までを完了条件とする、といった形で各フェーズの到達基準を言語化します。

小ワザ:

  • 最初から完璧な型を目指さず、まずは今のエース社員の商談を分解するところから始める

  • フェーズは5〜7個程度に収め、細かくしすぎない

② 判断ポイントと抜けを可視化する

結論: 各フェーズで「何を確認し、何を基準に次に進むか」を明文化し、抜けやすいポイントを洗い出します。

理由: 属人化している商談ほど、「なんとなく次に進めた」結果、予算や決裁者の確認が抜けたまま提案フェーズに入ってしまうことが多く起こります。

具体例: ヒアリングフェーズで「予算感」「決裁者」「導入時期」の3点が未確認のまま提案に進んでいないか、商談記録をもとにチェックします。

小ワザ:

  • 抜けが多い項目から優先的にチェックリスト化する

  • 「確認できなかった場合の次アクション」もセットで決めておく

③ 質問項目・切り返しを共通化し、ロープレで定着させる

結論:ヒアリングで聞くべき質問と、よくある反論への切り返しをチームの共通言語として整備します。

理由:同じ質問項目・切り返しを使えるようになると、新人とベテランが同じ軸で商談を語れるようになり、振り返りの質も上がります。

具体例:「他社と比較検討している」という反論に対する切り返しを3パターン用意し、ロールプレイで実際に使えるレベルまで練習します。

小ワザ:

  • 切り返しは暗記させるのではなく、意図(なぜその質問をするのか)とセットで共有する

  • ロープレの様子を録音・録画し、良い例をチーム内で共有する

④ 商談に同席し、直後にフィードバックする

結論: マネージャーやメンターが実際の商談に同席し、終了直後にその場でフィードバックを行います。

理由: 時間が経ってからの振り返りでは記憶が薄れ、具体的な改善につながりません。商談直後のフィードバックは定着率がもっとも高い方法です。

具体例: 商談終了後5分以内に、「良かった質問」「次回改善したい切り返し」をそれぞれ1つずつ言語化してもらう、というシンプルな運用で十分効果があります。

小ワザ:

  • フィードバックは指摘だけでなく、再現できた「型」を褒めることもセットにする

  • 同席できない場合は、商談の録音を後から短時間で確認する運用でも代替可能

⑤ 提案資料を「判断してもらうページ」として1枚ずつ再設計する

結論:提案資料を「説明するための資料」から「このページで相手に何を判断してもらうか」を軸にした資料へ作り変えます。

理由:担当者ごとに資料の使い方がバラバラだと、同じ資料を使っていても商談の結果が変わってしまいます。1ページごとに目的を明確にすることで、誰が使っても同じ流れで商談を前に進められます。

具体例:「このページを見せた後、相手に『予算感』を答えてもらう」というように、各ページにゴールを設定し直します。

小ワザ:

  • 全ページを一度に作り変えず、受注率に直結するページから着手する

  • 資料改訂後は、必ず実商談で使ってみてフィードバックを反映する

支援事例:KOKUYO・CROSS FMにおける「商談の型」再設計

KOKUYO株式会社

大手企業であるKOKUYO社では、「提案書も商談も、誰がやるかによって中身が変わってしまう」「一度話して終わり、資料を持って行って終わりになってしまう」という課題を抱えていました。改善が感覚頼りになっており、マネージャーも営業設計そのものに時間を割けない状況でした。

EmpowerXでは、商談プロセスを分解して「どこで何を判断し、何が抜けているか」を可視化したうえで、誰が話しても同じ軸で会話できる質問項目・切り返しを整備してロールプレイを実施。さらに商談への同席と終了直後のフィードバック、「説明資料」から「商談を前に進める資料」への再設計まで一貫して支援しました。

結果として、新人・ベテランを問わず同じ流れで商談を進められる状態になり、「どの情報を取れているか」「次に何を出すべきか」がチームの共通言語として定着しました。 導入事例の詳細はこちら

株式会社CROSS FM

ラジオ番組の運営を手がけるCROSS FM社では、スポンサー営業の約99%を自社で対応しており、番組運営と兼務する中で新規開拓に時間を割けないという課題がありました。

EmpowerXは3ヶ月間の支援を通じて、「誰に、どう届けるか」を整理。営業を「個人の頑張り」ではなく「仕組み」として捉え直す文化づくりを進め、番組の価値を相手が判断しやすい形で伝える型を構築しました。 導入事例の詳細はこちら

※ 業種がまったく異なる2社の事例ですが、いずれも「属人化した営業活動を、商談レベルの型として再設計する」という同じアプローチで変化を生んでいます。

今日から使えるセルフチェックリスト

まずは自社の商談が「型」として機能しているか、以下のチェックリストで確認してみてください。

社内だけで進めにくいときの選択肢

ここまでの5ステップは、理屈としてはシンプルですが、実際には「設計する時間がない」「商談に同席する人員が足りない」という壁にぶつかりがちです。特にマネージャーが日々の案件対応を抱えながら、商談の型を一から設計し直すのは現実的に難しいケースが少なくありません。

その場合は、プロのフィールドセールスと一時的に並走しながら型を作り、ノウハウを社内に内製化していくという選択肢も有効です。外部の視点が入ることで、「当たり前になりすぎて言語化できていなかった商談の勘所」が可視化されやすくなるというメリットもあります。

最後に

営業の属人化は、SFAやツールを導入するだけでは解消しません。「プロセスの分解→判断ポイントの可視化→質問・切り返しの共通化→同席フィードバック→提案資料の再設計」という商談レベルの型づくりを積み重ねることで、誰が担当しても一定水準の商談ができる状態に近づいていきます。

EmpowerXでは、フィールドセールスの立ち上げ・代行を通じて、商談の型・トークスクリプト・提案資料の整備から実際の商談同行までを一貫して支援しています。専属のフィールドセールスは最短2週間で提供可能です。「属人化は感じているが、どこから手をつければいいか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

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