新規事業の営業とマーケをどうつなぐ?EmpowerXメソッドの実行手順
事例記事を作ったが、営業で活用されていない。ウェビナーを開催したが、その後のフォローが進まない。営業が聞いた顧客の声が、次のコンテンツに反映されない。
新規事業の営業とマーケティングを連携させるには、それぞれの活動の間で「何を渡し、受け取った人がどう動くか」を決める必要があります。
EmpowerXメソッドは、顧客との対話で得た情報から、ターゲット・コンテンツ・集客・営業の次の行動を決め、担当者と確認基準まで具体化する進め方です。EmpowerXの支援実務を、本記事ではこの形に体系化しています。
事業責任者と合意した方針のもと、ビジネスサイドの推進責任者が施策の優先順位を整理し、制作・実行・振り返りをつなぎます。案件ごとに異なる顧客、商材、事業段階に合わせて、次の行動を選ぶための方法です。
同じ顧客の反応から、どう施策を選ぶのか
以下は、手順を説明するための例です。特定の顧客の実績ではありません。
複数の商談で、「導入後に現場が何を担当するのか分からない」という声があったとします。
まず確かめるのは、実際の運用負担と、説明の不足です。
運用は可能だが役割が伝わっていない場合は、既存顧客への取材で担当業務を確認し、役割分担を示す事例や資料を用意します。同じ疑問を持つ顧客が多ければ、その内容をウェビナーのテーマにすることも考えられます。
一方、必要な作業を担う人が顧客側にいない場合は、支援範囲や導入方法を事業責任者と検討する必要があります。
前者の確認事項は「資料を見た後、顧客が導入後の役割を具体的に検討できたか」。後者では「変更した支援範囲で、運用可能な体制を組めるか」です。
このように、事例を作るか、営業の質問を変えるか、提供条件を検討するかを、確認した事実から選びます。以下では、その判断を担当者間で共有し、実行へ移す手順を解説します。
基本単位は「事実・解釈・打ち手」と、その確かめ方
顧客と会話した後に「反応がよかった」と報告しても、その情報だけではマーケティング担当は何を作ればよいか判断できません。
EmpowerXの営業レビューでは、顧客が何を話したのか、どこで会話が止まったのかを確認し、次に変える質問や伝え方まで具体化する取り組みが行われています。この考え方を、営業とマーケティングの共通言語として使います。
事実:顧客が話したこと、取った行動、確認できた結果。
解釈:その背景についての仮説と、ほかに考えられる理由。
打ち手:誰に、何を、誰が実行するか。
確かめ方:どの反応や情報から、仮説を支持・修正するか。
例えば、「資料を送ってほしい」という依頼は事実です。「導入意欲が高い」は解釈です。
事例を探しているのか、社内説明に使いたいのか、広く情報収集しているのかによって、渡す資料も次の連絡も変わります。その背景を確認することから、施策を設計します。
顧客の声から、制作・集客・商談へつなぐ
事例を活用できる企業では、次のような流れを設計できます。
顧客の課題・導入理由を確認する
事例として整理する
ホワイトペーパーやウェビナーに展開する
対象企業へ案内する
反応と状況を確認する
商談・提案・導入支援につなぐ
新たに得た情報を次の施策へ返す
着手する場所は、利用できる情報と顧客接点によって変わります。導入実績がなければ、顧客との対話やテストマーケティングが先です。すでにリードがある場合は、その反応とフォロー状況から確認します。
どこから始めるべきかを整理したい方は、新規事業のファネル別診断と立て直し方もご覧ください。
1.顧客の声を、施策を選べる情報にする
顧客の声を集める際は、発言の内容と背景をセットで記録します。
同じ「今は必要ない」という返答でも、対象外なのか、現状の方法で足りているのか、優先度が低いのか、導入する人手がないのかで意味が異なります。
記録する項目の例は、次のとおりです。
顧客の部署・役割と、現在の業務
情報収集や相談を始めたきっかけ
会話で確認できた課題と、その影響
関心を持った点、懸念が残った点
未確認の条件と、次に確認すること
フォームの回答と会話の内容が異なった場合は、情報の取得元と確認日を残します。後から参加した担当者も、なぜ判断が変わったのかを理解できるようにするためです。
また、顧客が課題を感じていない可能性も残します。こちらが期待する回答に誘導すると、事業判断に使う情報の精度が下がります。
2.事例は、次の顧客の判断に使える形で制作する
事例制作では、成果に加えて、導入前の状況、選んだ理由、実際の進め方を整理します。
読者が知りたいのは、自社に近い課題でも適用できるか、どのような準備や体制が必要かという点です。取材や原稿作成では、次の内容を確認します。
導入前に困っていた業務:読者が自社の課題との共通点を確かめられるようにする。
他の選択肢と比べた判断理由:比較するときの観点を伝える。
導入時の準備と役割分担:必要な社内対応を具体化する。
実施した支援と、その範囲:どこまで依頼できるかを伝える。
確認できた変化と残る課題:期待できることと適用条件を示す。
顧客名、発言、成果数値の掲載範囲は、顧客と確認して進めます。公開できる情報に合わせて、実名事例、匿名事例、一般化した解説を使い分けます。
3.事例を、用途に合わせて展開する
事例ができた後は、顧客の検討を進めるために、適した形式へ展開します。
例えば、判断の観点を整理したい読者にはホワイトペーパー、導入担当者の経験を深く知りたい読者には顧客登壇ウェビナーが候補になります。個別商談では、顧客の課題に近い部分を提案資料に組み込みます。
企画時には、次の5点を決めます。
誰に届けるか:対象企業、部署、役割。
何を判断できるようにするか:解消したい疑問や懸念。
どの根拠を使うか:事例、運用内容、確認済みの情報。
どう届けるか:Web、メール、電話、イベントなど。
次の行動は何か:追加資料、対話、具体的な相談など。
この設計によって、制作担当者と営業担当者が、同じ目的でコンテンツを活用できます。
4.ウェビナーは、集客と開催後の対応まで企画する
ウェビナーの企画では、テーマや登壇者とあわせて、集客対象、案内方法、開催後のフォローを決めます。
EmpowerXでは、事例制作からセミナー企画、アウトバウンドコールによる誘致、リード獲得後の対応までを組み合わせた支援が可能です。
運用を設計するときは、参加・欠席だけで対応を決めず、本人の関心や状況を確認します。
具体的な質問があった:質問の背景を確認し、必要な回答や対話につなぐ。
参加したが検討状況は不明:参加理由と現在の業務を確認する。
欠席したがテーマへの関心はある:資料や別の視聴機会を案内する。
情報収集が目的だった:関心に沿った情報提供を続ける。
具体的な課題が確認できた:合意を得て、課題に沿った商談を設定する。
参加という行動から分かることには限りがあります。フォローを通じて、次の対話が必要な人と、情報提供を続ける人を見分けます。
5.営業への引き継ぎは、受け手が動ける状態まで整える
連携を機能させるには、情報を渡す側と受け取る側で、次の行動を合意します。以下は、その運用例です。
営業からマーケティングへ
顧客の課題、質問、判断が止まる理由を渡します。マーケティング担当は、情報を補う施策が必要かを検討し、推進責任者と制作の優先度を決めます。
マーケティングからインサイドセールスへ
接点の内容、閲覧・参加したテーマ、本人の質問を渡します。インサイドセールスは背景を確認し、具体的な対話へ進めるか、継続フォローが適切かを判断します。
インサイドセールスから商談担当へ
確認した課題、関係者、未確認事項、次回の合意内容を渡します。商談担当は仮説を引き継ぎ、商談の目的と確認事項を準備します。
商談担当・CSから推進責任者へ
受注・見送り理由、利用上の課題を渡します。推進責任者は、ターゲット、資料、施策の見直しを整理し、提供内容に関わる論点は事業責任者と検討します。
SalesforceやHubSpotなどに記録する場合も、判断に必要な情報が残るように項目を設計します。選択項目の入力だけでは分からない背景は、確認した事実と担当者の解釈を分けて補足します。
公開事例に見る、顧客理解と実行のつなぎ方
NutmegLabs Japan:顧客の反応を、アプローチの見直しに使う
NutmegLabs Japan株式会社の支援では、相手に伝わる言葉やニーズを検証し、ホテルの規模やコンセプトごとの反応を分析。活動報告でも顧客の反応を共有しています。繁忙期の状況を踏まえた商談の提案など、相手の事情に合わせた工夫も紹介されています。
ここで注目したいのは、顧客との接点で得た情報を、次のアプローチに活用していることです。
コクヨ&パートナーズ:企画と役割分担を整え、ウェビナーを実行する
コクヨ&パートナーズ株式会社の支援では、ウェビナーの企画構成に加え、タスク、スケジュール、各社の役割を整理。初回は20名超が参加しました。また、参加者から寄せられたAIに関する質問が、次回テーマを検討する材料として紹介されています。
この事例は、企画を実行可能な計画に落とし込み、開催後の反応を次の検討に使う考え方を示しています。
社内と外部パートナーの役割を決める
新規事業の担当者が、すべての制作や営業活動を自ら担う必要はありません。一方で、事業としての方針や判断は、実行担当者と共有する必要があります。
役割分担の例は、次のとおりです。
顧客側の事業責任者:事業方針、提供条件、投資・継続判断、社内承認。
ビジネスサイドの推進責任者:施策の提案、優先順位付け、KPI設計、進捗と判断事項の整理。
マーケティング担当:事例・コンテンツ制作、イベント企画、集客と運用。
セールス担当:顧客開拓、課題確認、商談、提案、受注後の連携。
実際の配置は、事業の段階と依頼範囲に応じて組み合わせます。情報が集まる人、優先順位を決める人、制作・実行する人が連携できる状態をつくることが重要です。
自社に必要な支援範囲を、営業・マーケの役割分担から相談する
EmpowerXメソッドを使う最初の行動は、現在の顧客接点を振り返り、確認できた事実から一つの打ち手を決めることです。その際、何を確かめたいか、誰が動くか、得られた結果を何の判断に使うかをそろえます。
「事例やウェビナーを企画したいが、実行する担当がいない」「営業で得た情報を、次の施策に反映できていない」。こうした段階からご相談いただけます。
ご相談では、検証したいこと、既存の顧客・コンテンツ、社内で担える業務を確認し、優先する施策と役割分担を整理します。
EmpowerXの新規事業伴走支援では、施策の提案・設計から、事例やホワイトペーパーの制作、ウェビナー・イベントの企画運営、インサイドセールス、商談・受注、CSまで、必要な範囲を組み合わせて支援します。




