
カスタマーインサイドセールスの立ち上げ方3ステップ|失敗しないための体制づくりと外部活用
カスタマーインサイドセールスとは、すでに取引のある既存顧客に対して、電話、メール、オンライン会議などを使い、離れた場所から、アップセルやクロスセルの商談をつくる営業活動です。「既存顧客向けのインサイドセールス」と呼ばれることもあります。
「既存顧客にアップセルやクロスセルを提案したいが、CSの担当者は手一杯」「新規開拓だけでなく、既存顧客からも売上を伸ばしたい」。サブスクリプション型のサービスを提供している企業では、こうした悩みが増えています。
既存顧客を対象に、非対面で商談を生み出す機能として注目されているのが「カスタマーインサイドセールス(CIS)」です。ただし、新規開拓のインサイドセールスと同じやり方では、顧客との関係性を損ねてしまうリスクもあります。
そこで今回は、カスタマーインサイドセールスを立ち上げる3つのステップと、よくある失敗パターン、外部を活用する際の判断基準をご紹介します。なお、言葉の定義そのものについては、カスタマーインサイドセールスとはで詳しく解説しています。
カスタマーインサイドセールス(CIS)とは|既存顧客向けのインサイドセールス
カスタマーインサイドセールスとは、すでに取引のある既存顧客に対して、電話、メール、オンライン会議などを使い、離れた場所から、アップセルやクロスセルの商談をつくる営業活動です。新しい見込み企業に働きかける、通常のインサイドセールスと違い、対象は、いまのお客様です。
主な仕事は、次の4つです。
既存顧客の、利用状況や契約の状況を把握する
追加の提案ができそうなタイミング(商機)を見つける
顧客に連絡し、状況を聞いて、提案の機会をつくる
商談につながる場合は、アカウントマネージャーや営業に引き継ぐ
(上の定義は、一般的な使い分けで、会社によって呼び方や範囲は異なります。)
新規インサイドセールス・CSとの違い
まず、役割の違いを整理しておきます。
新規インサイドセールス | カスタマーインサイドセールス | カスタマーサクセス | |
|---|---|---|---|
主な目的 | 新規の商談創出 | 既存顧客のアップセル・クロスセル、LTV向上 | 利用定着・解約防止 |
対象 | 見込み顧客 | 既存顧客 | 既存顧客 |
主なKPI | 商談数 | 商機検知数、提案転換率 | 利用率、解約率 |
CSは「利用してもらい続けること」が中心で、営業的な提案は本来の役割とずれることがあります。そのため、既存顧客への提案を専門に担う機能として、CISを別に置く企業が増えています。
立ち上げの前に、決めておく3つのこと
ステップに入る前に、次の3つを、先に合意しておくと、立ち上げが、進めやすくなります。
1. 目的 「何のために、既存顧客に連絡するのか」を、1文で書き出します。たとえば、「新サービスの案内を通じて、追加の商談をつくる」「契約の拡張余地がある顧客に、提案の機会をつくる」などです。
2. 役割分担 既存顧客には、すでに、担当のアカウントマネージャーやカスタマーサクセスがいる場合が多くあります。「誰が、顧客との窓口か」「CISは、どこまで連絡し、どこから担当者に引き継ぐか」を、決めておきます。
3. 連絡のルール 既存顧客との関係を守るため、「連絡を控える顧客(解約の相談中など)」と、「連絡の頻度の上限」を、先に決めておきます。
実際に、LayerX社の支援では、既存のアカウントマネージャーとの連携体制を、最初に構築しています。
カスタマーインサイドセールスを立ち上げる3ステップ
ステップ1:既存顧客をセグメントに分ける
結論:すべての既存顧客に同じ対応をせず、利用状況や規模などでグループ分けします。
理由:顧客ごとに、提案すべき内容もタイミングも異なります。一律にアプローチすると、関係性を損ねる可能性があります。
具体例:利用度(高/中/低)、契約規模、成長性などの軸で分け、「拡張余地が大きい層」から優先して接点を持ちます。
ステップ2:アプローチのシナリオを設計する
結論:「いつ・何を・どんなトーンで」伝えるかを、セグメントごとに決めておきます。
理由:既存顧客は、すでに自社のサービスを使っているため、新規リードと同じ説明では響きません。利用実態を踏まえた提案が求められます。
具体例:利用ログから拡張ニーズを検知したタイミングで、「現在の活用状況を拝見すると、◯◯機能をご活用いただける可能性があります」といった、利用実態に沿った切り口で連絡します。
ステップ3:KPIを新規ISとは別に設計する
結論:新規ISの「商談数」だけでなく、既存顧客向けの指標を設定します。
理由:同じKPIで測ると、顧客との関係性より件数が優先されてしまい、過剰なアプローチにつながります。
具体例:「商機の検知数」「接触率」「提案から商談への転換率」など、既存顧客に特化した指標で振り返ります。
立ち上げ後の、最初の1〜2か月の進め方(一例)
時期 | やること |
|---|---|
最初の1〜2週間 | 目的と役割分担を合意し、対象とする顧客(セグメント)を決める |
3〜4週間目 | トークスクリプトを作り、少数の顧客で、試す |
1か月目以降 | 顧客の反応を見て、トークと対象を見直す。週次で、結果を、関係者に報告する |
2か月目以降 | 指標(商機の検知数、接触率、提案から商談への転換率)を確認し、対象を広げるかを、判断する |
(期間は、貴社の体制や、顧客数によって変わります。あくまで、一例です。)
最初から、すべての顧客に連絡するのではなく、少数で試して、反応を見ながら広げます。この進め方は、顧客との関係を守る意味でも、有効です。
よくある3つの失敗パターン
CSに営業を丸投げする: CSが本来の業務と兼務で提案を行い、どちらも中途半端になる
新規ISと同じKPIで管理する: 件数を追うあまり、顧客体験を損ねてしまう
顧客体験を無視した過剰なアプローチ: 短期間に何度も連絡し、関係性が悪化する
支援事例
株式会社LayerX様
AIエージェントサービス「バクラク」を提供するLayerX社(既存顧客約2万社)では、新サービス「バクラクヘルプデスク エージェント」の立ち上げにあたり、既存顧客との関係性を維持しながら、新たな商談を生み出す方法を確立する必要がありました。
EmpowerXは、既存のアカウントマネージャーとの連携体制の構築、トークスクリプトの検証、週次での報告などを通じてカスタマーインサイドセールスを立ち上げ。商談創出の方法がLayerX社内のナレッジとして蓄積され、新入社員のオンボーディングにも活用される体制が整いました。 導入事例の詳細はこちら
株式会社マネーフォワード様
カスタマーサクセス部門で、KPI未達とメンバー育成の負担増大という課題を抱えていたマネーフォワード社では、EmpowerXの支援開始から6ヶ月間、KPI目標を一度も下回らず継続達成。初月の時点で、難易度の高いホワイトペーパー経由のアポイントも獲得し、早期に成果を創出しました。 導入事例の詳細はこちら
外部を活用すべきかの判断基準
既存顧客数は多いが、提案に割けるリソースが社内にない
CSが兼務しており、どちらの業務も手が回っていない
既存顧客への提案のノウハウが社内に蓄積されていない
既存担当者との関係性を保ちながら進める調整役が必要
最後に
カスタマーインサイドセールスは、「セグメント設計→シナリオ設計→KPI設計」の3ステップで立ち上げることができます。新規ISの延長として始めるのではなく、既存顧客との関係性を守る前提で、体制と指標を分けて設計することがポイントです。
EmpowerXでは、既存のアカウントマネージャーとの連携体制の構築から、トークスクリプトの検証、定量・定性情報の週次報告まで、カスタマーインサイドセールスの立ち上げを一貫して支援しています。「既存顧客に提案したいが、何から始めればいいか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
新規開拓のインサイドセールスの立ち上げ方は、インサイドセールスの立ち上げ方で解説しています。




