BtoB新規事業のマーケティングは何から始める?施策の選び方と営業へのつなぎ方
BtoB新規事業のマーケティングは、顧客・コンテンツ・リードの状況を整理し、今の課題に合う施策と実行体制を決めることから始まります。
顧客がまだいない場合は、初期顧客の開拓とニーズの検証。顧客はいるものの発信素材がない場合は、事例制作。リードがあるのに商談につながらない場合は、優先順位付けとフォローの設計が出発点です。
EmpowerXの新規事業伴走支援では、営業とマーケティングをつなげて施策を考えます。営業で得た顧客の反応をコンテンツや訴求に反映し、コンテンツやイベントで生まれた接点を営業へ引き継ぎます。
この記事では、当社の公開支援事例と提供業務をもとに、大手企業の新規事業開発室・事業責任者が施策の優先順位を決める際の考え方を解説します。
新規事業のマーケティングは、何が不足しているかで着手点を変える
「リードを増やしたい」という相談でも、顧客の理解、発信素材、届け方、営業フォローのどこに課題があるかで、必要な支援は変わります。
例えば、展示会名刺や問い合わせが残っている場合は、対応状況を確認します。導入顧客はいるものの、提案時に示せる事例がない場合は、その顧客が導入を決めた背景を整理することが候補になります。
施策を選ぶ際の確認項目は、次のように整理できます。
現在の状態 | 最初に確認すること | 着手する施策の例 |
|---|---|---|
顧客・売り先が定まっていない | どの企業・部署が、何に困っているか | 初期顧客開拓、ヒアリング、テストマーケティング |
顧客はいるが、事例・コンテンツがない | 導入理由や活用方法を説明できるか。取材協力を得られるか | 事例記事、営業資料、ホワイトペーパーの制作 |
コンテンツはあるが、新しい接点が少ない | 誰に、どの接点から届けるか | 対象企業への案内、ウェビナー、展示会など |
リードはあるが、商談につながらない | 未対応の相手、検討状況、次の連絡内容が分かるか | リードの分類、フォロー、ナーチャリング |
さらに、各施策を動かす担当者と、社内で確認・承認する人も決めます。企画が決まっていても、原稿確認や顧客への連絡が止まれば、次の工程には進めません。
顧客がまだ少ない段階では、営業活動をマーケティングの判断材料にする
初期の新規事業では、顧客との会話から得られる情報が、ターゲットや訴求を見直す材料になります。
電話・メール・商談で接点をつくる際には、獲得した商談数とともに、何を確かめたいかを決めておきます。例えば、次のような情報です。
どの業種・部署が課題を感じているか
現在、その課題をどのように解決しているか
提案のどこに関心を持ったか
導入に向けて、何を確認する必要があるか
誰が利用し、誰が導入を判断するのか
東急「TsugiTsugi」の支援では、商談創出と仮説検証を扱う
東急株式会社の「TsugiTsugi」では、新たな販売チャネルを開拓するため、EmpowerXがアウトバウンドのインサイドセールスを支援しています。
公開事例では、新規事業の営業活動に仮説検証の意味合いがあることや、活動を通じて取得したい情報を意識して進めることが紹介されています。東急株式会社の支援事例
このような検証をマーケティングへつなぐ際は、顧客の反応を具体的に記録することが大切です。以下は、記録と次の施策を結び付ける整理例です。
確認できた反応の例 | 次に検討すること |
|---|---|
担当者は関心を持ったが、社内説明に必要な情報が足りない | 導入目的・運用方法・期待する変化を説明する資料 |
機能の説明には反応が薄く、特定の業務課題には質問が集まった | LPや営業資料の訴求、ウェビナーのテーマ |
利用方法や導入後の運用に不安がある | 活用事例、導入手順、よくある質問 |
特定の部署で課題の優先度が高い | ターゲットリストとアプローチ部署 |
一つの反応だけで方針を決めず、対象企業や接触した部署、伝えた内容と合わせて確認します。営業活動で得た情報を蓄積すると、次のコンテンツを何のためにつくるかが明確になります。
初期顧客開拓の進め方は、大手企業の新規事業で、最初の顧客を見つける方法でも解説しています。
顧客はいるがコンテンツがない場合は、事例と使い道を一緒に設計する
EmpowerXでは、事例制作から支援を始め、ホワイトペーパーやウェビナー、アウトバウンドでの誘致へ展開する支援も行っています。
このとき、事例を制作する目的と、完成後に届ける相手を整理します。対象企業への初回案内で使うのか、商談中の懸念を解消するのか、社内検討の資料として使うのかによって、必要な情報が変わるためです。
事例取材で確認したいのは、次の顧客の判断に役立つ情報
取材では、導入前の課題、検討のきっかけ、選定理由、導入時の懸念、実際の活用方法、確認できた変化を伺います。
例えば、導入を進める際に社内説明が必要だったなら、どのような情報が判断に役立ったかを整理できます。運用への不安があったなら、どのように準備し、利用を始めたかが、次の顧客にも参考になる可能性があります。
成果数値がまだ出ていない場合は、確認できた変化や評価を具体的に伝えます。取材前には、社名・写真・数値などの公開範囲と、原稿の確認方法もすり合わせます。
制作手順は、導入事例の作り方|営業で使える事例にする5ステップをご覧ください。
事例から、資料・ウェビナー・営業へ展開する
事例で得た情報は、目的に応じて次のように展開できます。
取材で得られた情報 | 展開先の例 | 届けたい相手 |
|---|---|---|
導入前の課題と検討のきっかけ | 事例記事、案内メール、LP | 同じ課題を持つ企業 |
比較・選定時に重視した点 | ホワイトペーパー、営業資料 | 選択肢を比較している担当者 |
社内説明や導入準備の進め方 | チェックリスト、導入ガイド | 社内検討を進める担当者 |
実際の活用方法や担当者の経験 | 顧客登壇ウェビナー、事例資料 | 具体的な利用イメージを知りたい企業 |
すべてを順番につくる必要はありません。取材には協力できても登壇が難しい場合は、事例記事や営業資料への展開を優先できます。対象企業が絞れている場合は、制作した資料を個別の営業活動で届ける方法もあります。
顧客の協力状況、予算、届けたい相手を踏まえて、必要な施策を選びます。
ウェビナーは、企画・誘致・開催後フォローまで担当を決める
EmpowerXが提供するマーケティング支援には、ウェビナーやセミナーの企画・運営に加え、アウトバウンドコールによる誘致や開催後のフォローも含まれます。
施策を組み合わせる際は、「誰に参加してほしいか」と「参加後にどのような対話をしたいか」を企画段階で整理します。
例えば、導入を具体的に検討している企業に向けた内容と、課題を認識し始めた企業に向けた内容では、テーマも案内の伝え方も変わります。
コクヨ&パートナーズの支援では、企画と準備の役割分担を具体化
コクヨ&パートナーズ株式会社では、新プロダクトと既存顧客層が合わないことや、新設部門のマーケティング経験不足を背景に、EmpowerXが共催ウェビナーの企画・運営を支援しました。
公開事例では、企画の構成を示したことに加え、準備するタスク・期限・各社の役割を明確にしたことが評価されています。一方、広告制作の準備を早めることや、申込から参加への移行には改善余地が挙げられています。コクヨ&パートナーズ株式会社の支援事例
こうした実例を踏まえると、開催準備では次の項目を一緒に決めておくことが有用です。
対象企業・部署と、参加者に持ち帰ってほしい内容
企画・登壇資料・集客素材の制作担当と確認期限
メールや電話で案内する対象と担当者
申込者への案内・リマインドの方法
当日の運営と、質問・アンケートの記録方法
開催後に連絡する相手、担当者、確認する内容
開催後は、参加状況や質問内容、既存の商談履歴を踏まえて次の対応を考えます。具体的な導入相談がある人には個別の対話を提案し、情報収集段階の人には関連資料や事例を届けます。
リード獲得後は、有効商談の条件と引き継ぐ情報を合わせる
営業とマーケティングをつなぐには、リードを引き渡す条件と、その後の対応を双方で合わせる必要があります。
例えば、次の条件を有効商談の判断に使う方法があります。
対象とする企業・部署に合っている
解決したい課題を確認できている
個別相談や次回提案など、次の検討行動に合意している
これは条件の一例です。新規事業の段階や商材に応じて、何を確認できれば次へ進めるかを決めます。
引き継ぐ情報も具体化します。「ウェビナーに参加した」という記録に、関心テーマ、確認できた課題、検討時期、次に約束した対応を加えると、営業担当者が会話を続けやすくなります。
SalesforceやHubSpotを利用している場合は、登録する項目、更新担当、確認するレポートを揃えます。EmpowerXでは、これらの初期設計・設定からデータ登録、レポート、運用改善まで支援しています。
数字と顧客の反応を合わせて、次の施策を決める
マーケティングファネルとセールスファネルのKPIは、事業の課題に合わせて設計します。例えば、次のように判断する材料を整理できます。
確認できた状況 | 次に見直す項目 |
|---|---|
リードは増えたが、対象企業・部署が少ない | 集客先、テーマ、訴求 |
対象企業から申込はあるが、参加が少ない | 日程、案内内容、参加までの連絡 |
参加後の会話はできるが、課題を確認できない | テーマと対象者の一致、ヒアリング内容 |
課題は確認できるが、次の検討に進まない | 提案内容、検討条件、社内説明に必要な情報 |
表は原因を確定するものではなく、次に調べる項目の例です。施策や獲得時期を揃えた集計と、実際の顧客の反応を照らし合わせて判断します。
社内調整で手が回らないときは、企画・推進を担う役割も設ける
大手企業の新規事業では、担当者が事業開発や社内調整を担いながら、営業・マーケティングも動かそうとしている場合があります。
この状況で外部支援を使う際は、実行する業務に加えて、施策を提案し、優先順位を決め、進捗と結果を整理する役割まで検討します。
EmpowerXが公開している大手企業の新規事業開発室の匿名事例では、ビジネスサイドの責任者1名とセールス1名、マーケ1名の体制で支援。事例やコンテンツの制作、セミナーの企画・運用、営業・顧客対応などを担当しています。大手企業の新規事業開発室への伴走支援事例
必要な体制は案件によって変わります。依頼時には、次の役割を誰が担うか整理してください。
役割 | 整理しておきたい内容 |
|---|---|
企画・推進 | 優先施策、KPI、担当者、期限、結果の振り返り |
マーケティングの実行 | 取材・制作、集客、イベントの準備・運営 |
セールスの実行 | 対象企業への接触、誘致、フォロー、商談対応 |
社内の窓口・承認 | 商品情報の提供、表現や施策の確認、重要な事業判断 |
外部に依頼した後も、社内の窓口と承認者は必要です。確認期限と判断する内容を事前に決め、施策を進められる状態をつくります。
BtoB新規事業のマーケティングに関するよくある質問
導入事例がまだなくても、マーケティング支援を依頼できますか?
依頼できます。顧客がまだいない段階では、ターゲットの仮説を整理し、初期顧客開拓やテストマーケティングを通じて反応を確かめる方法があります。導入・試用顧客が生まれ、取材や公開への協力を得られた段階で事例化を検討します。
事例制作、ウェビナー、展示会のどれを優先すべきですか?
現在の課題と、使える顧客接点・素材から決めます。営業で説明する材料が不足しているなら事例制作、届けたいテーマと対象者が明確ならウェビナー、対象顧客と接点を持てる場があるなら展示会などが候補になります。準備と開催後の対応まで実行できるかも確認します。
営業とマーケティングをまとめて相談できますか?
EmpowerXでは、両方を組み合わせた支援も、一方に絞った支援も可能です。施策の提案・優先順位付け、ファネル・KPI設計から、制作、集客、商談・受注対応、CSまで、事業の課題に合わせて担当範囲を設計します。
顧客・コンテンツ・リードの状況から、次の施策を一緒に整理します
EmpowerXの新規事業伴走支援では、大手企業の新規事業開発室・事業責任者を中心に、営業・マーケティングの企画から実行・改善まで支援しています。
ご相談では、現在の顧客、活用できる事例・資料、保有するリード、社内で動かしきれていない業務を伺います。そのうえで、何を優先し、誰がどこまで担当するかを整理します。
「事例をつくって集客に使いたい」「企画から誘致・フォローまで任せたい」「営業で得た反応を次のマーケ施策へつなげたい」といった段階からご相談いただけます。




